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ボール1つで世界の人々をつなぐ。 フリースタイルバスケットボーラー「BUG!?」の挑戦

バスケットボールと音楽、ダンスの要素を組み合わせ、観る人を魅了するフリースタイルバスケットボール(以下、FBB)。じつは、日本はFBB界において世界トップレベルのスキルを誇るプレイヤーが多い。

そんななか、最も歴史と名誉ある大会「WFBA FREESTYLE BASKETBALL BATTLE JAPAN CHAMPIONSHIP」で史上最多となる3度の優勝を飾った実績を持つのが、BUG!? さんだ。

BUG!? さんはどのようなきっかけでFBBを始め、何がFBBの魅力だと考えているのだろうか。そして、これからどんな挑戦をしようとしているのだろうか。旅を通して経験した価値観の変化などをお聞きしつつ、BUG!? さんの考える未来についても伺ってみた。

「FBBは、ストリートバスケよりカッコよく見えた」

──まず、BUG!? さんがFBBを始めたきっかけを教えていただけますか?

BUG!?:
10代の頃にストリートバスケットボールブームがあって、僕は公園でバスケをするようになりました。そこで一緒にプレイしていた先輩たちから、アメリカ人やカナダ人のプレイシーンが映ったVHSやDVDを借りたんです。その映像にFBBをやっている姿が映っていて。それがとても衝撃的でした。

ゴールがない場所で音楽をかけて、ドリブルをしたりボール回しをしていて、バスケに関係ない人までその場の雰囲気を楽しんでいたんです。それを観たとき、ストリートバスケ以上にカッコよく見えて。「どこでもボール1つで輝けるんだ!」と、すぐにFBBを始めました。

──偶然の出会いだったんですね。

BUG!?:
で、ちょっとFBBを練習したら、その映像に映っていた人たちがやっていたことがすぐにできるようになったんです。そこで「これでメシを食っていくぞ」と心に決めて、どんどんFBBに時間を費やすようになりました。

──すぐに上達できたのは、何か理由があるのですか?

BUG!?:
過去にサッカーや野球、テニス、空手など、いろんなスポーツをしていたことが影響しているかもしれません。学校に通っていたときは、月曜日から金曜日まで、毎日違うスポーツをしていましたね(笑)。こうしたベースのおかげで、わりとすぐFBBも上達したんだと思います。

──なるほど。BUG!?さんは、FBBの魅力はどこにあると思いますか?

BUG!?:
場所を選ばず、どこでもできることが魅力だと思います。あと、FBBはだいたい20年くらいの歴史しかないカルチャーなので、他のフリースタイル競技に比べても、まだまだオリジナルの技がつくれるんですよ。発想次第でオリジナルの技がつくれちゃうんです。僕自身はそれが一番楽しいことだと思っていますね。

──なるほど。そういう面白さがあるんですね。

BUG!?:
今のはプレイヤー目線の話ですけど、FBBは誰とでもコミュニケーションが取りやすいのも魅力のひとつです。たとえばボール回し。観客の人に指を出してもらってその上で回すことができるので、子どもから大人まで、すぐに楽しんでもらえます。ダンスも場所を選びませんが、FBBは観客の人と一緒にその場の雰囲気をつくり上げられます。僕はそれがFBBの魅力だと思っています。

「海外で、即興性が鍛えられた」

──素朴な疑問なのですが、FBBを通してのコミュニケーションは言語の壁も超えられるのでしょうか?

BUG!?:
簡単に超えられますね。以前、修行で3000円だけ持ってフランスに行ったことがあるんですけど、そのときはボールがあったおかげで多くの人とコミュニケーションを取れました。

──具体的にはどんな出来事が?

BUG!?:
空港でボールを持っていると声をかけられるんですよ。そこで「ちょっと技を見せてよ」と。そこで技を披露したら写真を撮られて、それを誰かがSNSに投稿してフランスのFBBプレイヤーたちの間で噂になって……。写真を見たうちのひとりが空港にピックアップしに来てくれたんです。

──すごい経験ですね。

BUG!?:
「ボールがひとつあれば、なんとかなる」と実感しましたね。その後に仕事をもらって、お金を稼ぐこともできたので。

──海外に行ったことで、自分自身の価値観が広がった経験はありますか?

BUG!?:
海外と日本で同じ技を披露しても、反応に違いがあります。例えば、インドネシアはファニーな演技が好きで、アメリカはドリブルが好きで、フランスはブレイクダンスを合わせた技が好きとか。そこにいる人たちによって、雰囲気も変わってくるんです。そうした経験をしたからこそ、日本でも「今日はBリーグのハーフタイムショーだからドリブルを多めにしよう」とか考えられるようになりましたね。海外に行ったことで、即興性が鍛えられたと思っています。

──確かに国や地域によって文化が異なるので、反応には違いがありそうですね。BUG!?さんは、旅をするときのルーティーンはありますか?

BUG!?:
僕、大きな建物や大きな車など、巨大なものが好きなんです(笑)。なので空港には早めに行ってブラブラすることが多いです。どこを見ても大きなものばかりでテンションが上がるんですよね。普段はフライトの2時間半前くらいに行って、飛行機が飛ぶ様子を眺めたりしています。

──飛行機のお話が出たのでお伺いしたいのですが、ZIPAIRの魅力はどこにあると思いますか?

BUG!?:
よく飛行機を見ていて感じるのですが、まずZIPAIRはロゴとカラーがクールですね。機体が飛んでいる姿はとてもカッコいいです。あと、ZIPAIRに関わっているスタッフのみなさんのマインドが、とても好きです。

──というと?

BUG!?:
スタッフのみなさんが「挑戦する若者たちの足になりたい」と言ってくれているんです。僕らみたいなエクストリームスポーツをやってる若い世代の「足になりたい」なんて、なかなか言えないと思うんですよね。しかもスタッフの方と話をしていると、本当に心の底からそう思ってくれているんだなと感じます。そこまで考えてくれているのであれば、自分のためだけに頑張るのではなく、ZIPAIRさんのためにもなにか貢献したいなと自然に思いますよね。お互いに刺激を与え合って、一緒に成長できたらいいなと思っています。

「競技人口をもっと増やしたい」

──これから挑戦していきたいことはありますか?

BUG!?:
世界中の国や地域で、FBBを経験したことがない人たちに向けてワークショップを開催したいです。それを通して競技人口を増やしていきたいですね。例えば台湾の学校に行って、授業の一環としてFBBを教えたことがありました。そこでは「手拍子に合わせてドリブルをしてみましょう」などと伝えてから、できたら喜んでくれるだろうなという技を練習しました。こうしたワークショップを世界各地で開催して、多くの人にFBBの魅力を知ってほしいですね。
同時に、僕自身が有名になることも重要だと思っています。誰もが知っているくらい有名になれば、ワークショップを体験した子どもたちが「この前教えてくれた人がCMや動画に出てる!僕も頑張ったらできるのかな?」と思ってくれるはず。これからもワークショップを体験してもらうことと、自分が有名になること。この2つの軸でさらに挑戦していきたいなと思っています。