人に届くダンスを、踊る。BBOY SHOSEI 、二十歳 の「覚悟」〜 ZIPTRIP#3 BBOY SHOSEI in KOREA 〜 (前編)
2024年パリ五輪の正式種目となったことで、更なる盛り上がりを見せているブレイキン(ブレイクダンス)シーン。そのシーンにおいて、次世代BBOYの筆頭として注目を集めているのが、ZIPTRIP 第三弾の旅人、BBOY SHOSEI (以下、SHOSEI)さんだ。
SHOSEIさんは、7歳よりブレイキンを始め、11歳のときに国際大会で準優勝。13歳になるとスケートボードに目覚め、1年間ダンスから離れるが、14歳のときにG-SHOCK主催のBBOY CREW BATTLE “G-SHOCK REAL TOUHNESS”で復帰し、見事準優勝を飾る。15歳より上京、特待生として高校に入学するも、すぐに高校を退学することになる。この出来事により、今までお世話になった人達に迷惑をかけたことを深く反省したSHOSEIさんは、ダンスの腕を磨き、世界的なダンサーとなることで恩返しすることを決意し、現在は次世代BBOYの筆頭として、大きな活躍を見せている。
挑戦する若者たちの翼になりたい
私たちZIPAIRはこれまでの既成概念にとらわれることなく新しい基準を作る「NEW BASIC AIRLINE」を目指し取り組みを進める中で、周りに流されることなく、もがきながらも輝いている若者たちの姿に共鳴し、彼らの翼になり、次世代のスタンダードを共に創っていきたいと考え「ZIPTRIP~ジブンの翼を探す旅~」を始動。プロジェクトの第三弾として、SHOSEIさんと共に、韓国へと旅をしてきた。
このインタビューの数日後に二十歳の誕生日を迎えたSHOSEIさんに、まさに十代最後の旅となった 「ZIPTRIP」を通して感じたことや、BBOYとしての「これから」を聞いた。
自分の中で解決するダンスは、人には届かない。
ー お疲れ様でした。早速ZIPTRIPについてお聞きしたいのですが、今回の旅は、どのような気持ちでスタートしたのですか?
SHOSEI : 第一弾のBUG!?さんの動画を見ていたし、第二弾のKO-YAさんの話も聞いていたので、第三弾がオレでいいの!?って思いました笑 不安やプレッシャーはありましたが、BUG!?さんやKO-YAさんから「やりたいことやってこい!」「大丈夫。ZIPAIRチームがなんとかしてくれるから笑」って言葉をもらって。すごくいい企画だなって思ったし、ちょうど自分の気持ちを「もっと表に出したい!」って考えていたので、この旅がいい機会だと思いました。
ー 今回の旅では韓国で開催される大会に出ることも目的の一つでしたが、ズバリ結果はどうでしたか?
SHOSEI : 結果は・・・ベスト16でした。予選では自分でも納得のいくムーヴができたのですが、ベスト16ではあまりうまくいかなくて・・・もちろん優勝を目指していたので、すごく悔しい結果でしたが・・・それ以上に、きっとこの旅があったからだと思うのですが・・・これまで以上に、自分自身感じることがありました。
ー どのようなことを感じたのですか?
SHOSEI : 「自分の中で解決するダンスは、人には届かない」ということです。自分には・・・なんていうのかな・・・「遊び心」が足りなかったなって。
ー「遊び」ですか?
SHOSEI : これまでもそうなのですが、ダンスの時に決めていたことが失敗すると、真っ白になって立て直せなくなることがあって。今回もまさにそんな感じだったのですが、それって結局、自分の中でだけダンスを踊っていて、「見ている人に届けたい」っていう気持ちが足りていない。そう思えるだけの「心の余裕」がないんだなって。
ー その「心の余裕」のために必要なことは、どんなことだと思いますか?
SHOSEI : まさに「自分の気持ちを出すこと」なのですが・・・「曝け出す」というのではなく「素の自分でいること」かな・・・言葉にするのが難しいな・・・あの・・・それに関して旅の中で印象的なことがあって、その話をしてもいいですか?
ー もちろん!教えてください!
SHOSEI : 4日目の出来事なのですが・・・韓国で迷子になったんです笑 自由行動の時間が少しだけあって、フラッと街に出たのですが、みんなとはぐれた挙句、スマホの充電もなくなって笑 集合場所の住所も、もちろんスマホの中。「あ、やばい・・・」って。だいぶ焦ったのですが、焦ってないフリをして食べ歩きをしていました笑。そしたら偶然スタッフさんに会ったんです。ほんと偶然に。それでなんとか合流することができて事なきを得たのですが、その時にスタッフさんたちに「第三弾の旅が、SHOSEIでよかったよ」って言ってもらえたんです。
ー 迷子になったことがよかった、と笑
SHOSEI : やっと素が出たね、って。その言葉がすごく嬉しかった。旅の初日からずっと「ちゃんと自分を出せてるのかな?」「企画として成立してるかな?」って不安があったんです。でも合流して笑いながらいろいろと話してる時に、ふと思ったんです。自分は「人に恵まれてるな」って。初めてちゃんとそう思えたかもしれない。みんなが素の自分をちゃんと受け止めてくれているんだって。それですごく安心したんです。ずっと抱えていた緊張とか不安が、なくなったというか。
ー 「自分を表す」ために、逆に色々考えすぎていた、と。 SHOSEI : そうですね。昔から人の目や人の言葉をとても気にする性格なので、「自分を表したい」と思いながらも、結局はどう見られているのかな?って事をずっと気にしていたんだなって。でも結局は無理して「曝け出す」のではなく、「素の自分」でいればいいんだって。
ー 難しいけれど、とてもシンプルな事なのかもしれないですね。
SHOSEI : 全員に好かれなくていい、というか。自分のままでいる事を大切にする。そんな自分を大切に思ってくれる人とちゃんと向き合う。そのためには自分というものをしっかりと持って、それを貫かないといけないので怖さはあるけれど・・・それに向き合わないといけないんだって思いました。
ちゃんと笑っている自分に、気が付いた。
ー 「ジブンの翼を探す旅」。SHOSEIさんの翼は、見つかりましたか?
SHOSEI : ここ数年、実は海外に行きたくないって思っていたんです。あまり乗り気になれなかった。でも今回チャンスをいただいて「もっと海外に行きたい!」って思えたんです。それはやはり「自分のダンスを人に届けたい!」と思えたから。これまではその「覚悟」ができていなかったんだなって思いました。そのためには、もっと自分の行動を変えないといけない。練習。普段の生活。その積み重ねの先に「人の目を気にしない自分」や「心の余裕」が生まれて、人に届けられるダンスにつながる。その「覚悟」が、ジブンの翼かなって思います。
ー SHOSEIさんにとって、ZIPTRIPはとても意味のある旅になったのですね。
SHOSEI : ダンスをやってきてよかったなって思いました。ダンスをやってきたからこういう機会がもらえたし、この旅を通じてダンス以外のことにも挑戦したい!って思ったりもしました。なので、みんなも一生懸命諦めずに続けていれば絶対いいことがあるし、どんどん挑戦をしてほしい、って思います。
ー これからは海外へ挑戦するSHOSEIさんの姿がたくさん見れるかもしれないですね。
SHOSEI : 海外に行くと人の目が気にならないというか、考えなくていいなって。自分のやりたいことに集中できる。だから、日本で人間関係に疲れたなとか、気持ちが上がらないな、って人は絶対に海外に行くべきです。気持ちがスッキリするし、ゼロからもう一度自分のやりたいことに集中できる。
ー その感覚、とてもわかる気がします。改めて自分自身と向き合う感じですよね。
SHOSEI : 今気が付いたんですが・・・自分、ちゃんと笑ってる。これ、多分2、3年ぶりな気がします。作り笑顔とか愛想笑いとかではなく、心から笑っている・・・すごいな笑
ー すごいですね!まさに気持ちがリセットされたのですね。それではここからはそんなSHOSEIさんのBBOYとしてのこれまでや、これからについてお話を聞かせてください。
SHOSEI : はい!
【「後編 5/16公開」 へと続く 】