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人に届くダンスを、踊る。BBOY SHOSEI 、二十歳 の「覚悟」〜 ZIPTRIP#3 BBOY SHOSEI in KOREA 〜 (後編)

「前編」はこちらから

”ZIPTRIP” を通して、自分のダンスを、もっと多くの人に届ける「覚悟」ができたと語ってくれたBBOY SHOSEI(以下、SHOSEI)さん。インタビューの後半では、BBOYとしてのこれまでの歩みと、これからについてお話を聞いた。

ダンスだけは、捨てられなかった。

ー SHOSEIさんのプロフィールを拝見してすごく個性的だなと思ったので、それに関していくつか質問させてください。まずは「13歳から14歳の1年間、スケートボードに目覚め・・・」というところなのですが、小さい頃からずっとダンスをやってきた中で突然スケートボードにハマったきっかけ、というのはなにがあったのですか?

SHOSEI : スケボーはもちろん、ストリートカルチャーが小さい時から好きで興味があったし、ファッションもかっこいいなって思っていました。従兄弟がスケボーをやっていたので、ちょうどそのタイミングで誘われてやったらハマった、という感じですね。それこそ、朝から晩まで1日中スケボーばっかりやっていました。

ー ダンスをやめてスケートボードにしようと考えたりはしたのですか?

SHOSEI : 「ダンスをやめる」という考えは実は今まで一度もないんです。なので、きっとこの先引退ということもないと思います。ずっとやっていくんだろうな、と。逃げたいって思うことはあっても、やめたいとは思わないんです。でも確かにこの時期は一切、ダンスやらなかったな笑

ー その思いが自分の中にあったから、14歳でまたダンスに戻ったのですか?

SHOSEI : 14歳の時に、それこそスケボーとダンスとBMXの三競技で行われたストリートスポーツの大きな大会が日本で開催されて、そこにダンサーとして招待されたのですが、結果、準優勝だったんです。その時に「自分がやらなきゃいけないことは、これなんだな」って思ったんです。「自分にはダンスなんだな」って。他の競技もかっこよかったんですけど、やっぱりダンスとは違った。もう一回ちゃんと頑張ってみよう、って思いました。

ー なるほど。そこで改めてダンスと向き合っていくことになるのですが、次に気になるのが、やはり「特待生として高校に入学するも、すぐに高校を退学することになる。」の部分ですね笑

SHOSEI : ですね笑 15歳でダンスの高校に入学するために、練習場もあるし、お世話になっていた先輩もいたので川崎に上京したのですが、当時は・・・本当に今以上に自分の考えや行動が子供だったので・・すぐに退学することになってしまいました・・・。それで結局またしばらく、バトルにも出れないし、練習場にも行けなくなりました。

ー やってしまったな、と。

SHOSEI : 実は当時はやってしまったという感じはなくて・・・何がいけないんだよ!くらいの気持ちでした。でも、お世話になった先輩の顔に泥を塗ってしまったな、という思いはあって・・・だから練習場所にもいけなくて・・・でも、やっぱりダンスは捨てられなかったし、自分にはダンスしかなかった。ダンスでしか恩返しができないので、一人で誰も来ない場所を探して練習をしました。そして1年後くらいかな?バトルに出て、そこで優勝して、その時に迷惑かけた先輩が「よかったじゃん」って褒めてくれて、そこで変わった感じが自分にはあります。

ー 本当にユニークなプロフィールですよね。

SHOSEI : 自分ではこのプロフィール、気に入っているんです。プロフィールって大体、よく書くじゃないですか?でも自分の場合はマイナスというか、もちろん自分そのままなので、最初から自分という人間をわかってもらえるし、マイナスからどうプラスにするか?みたいな部分が、いいなぁって。

ー では今後は、このプロフィールに「プラス」を追記していきたいですね。

SHOSEI : そうですね。自分には獲りたいタイトルがあるので、しっかり結果を残して、それを載せたいですね。「ここから、ここにきたぞ!」って笑

自分をそのまま表現できる。それがブレイキンの魅力。

ー パリ五輪の正式種目となったこともあって、今、ブレイキンの注目度は上がっていると思うのですが、SHOSEIさん自身、オリンピックに対する思いはありますか?

SHOSEI : 素直にすごいことだな、と思います。自分が始めた頃にはブレイキンがオリンピック種目になるなんて思ってもいなかったので。でもそれ以上の思いは・・・今は正直ないです。もちろんパリオリンピックへの挑戦もしたし、結果的にいい成績が残せなかったということ、その挑戦も遅かったということはありますが、今はオリンピックよりも目指したいタイトルがある。そのタイトルは、ブレイキンがオリンピックの種目になる前から存在していて、ずっと自分が憧れて目指してきたタイトルなので、まずはそこに向かって行こうと思っています。そのタイトルがとれて、2028年にもまだオリンピック種目だったら、そのときは挑戦しようと思っています!

ー まずは、憧れのタイトルの奪取ですね。SHOSEIさんをここまで夢中にさせる「ブレイキン」の魅力とはなんでしょうか?

SHOSEI : 技を決めた時の達成感とかもありますが、自分の体一つで、多くの人を熱狂させられること。自分の性格や自分自身をそのまま表現できることが魅力です。踊っている人のその時の感情が見えてくるので、例えば「あの時のSHOSEIはよかったけど、この時のSHOSEIはなんか違うな。なんかあったのかな?」って思いながら見てもらえたら、きっと面白いかもしれないですね。

ー 確かにその視点で見ると、面白いかもしれないですね!では、SHOSEIさんがこれから表現したいことは、なんですか?

SHOSEI : 今、自分のダンスはLAZYなスタイル(やる気のないスタイル)なんですが、本当はそのスタイルが好きではないんです。元々は全く逆の、はっちゃけた、めちゃくちゃ楽しい!って感じのスタイルだったんで、それを取り戻したい!という思いがあります。よりパワフルでエナジーに溢れたスタイルですね。

ー 先ほどのお話で言うところの、自分の感情や状況がそのまま表現されるのがブレイキンであるなら、今のSHOSEIさんがまさに、LAZYな状況にあると。

SHOSEI : そうなのかもしれないですね。昔は正直、本当にいい悪いなんて何も考えないで、好きなように生きて、好きな発言をして、そのまま好きなように踊って表現していましたが、やはりどんどんそれができなくなっていきました。人の目を気にしたり、大人になるというのかな・・・やっぱり難しい環境にはなっていきますよね。

ー でも今回の旅で「素の自分を出す」糸口を見つけたようなので、ここからは変わっていくかもしれないですね。

SHOSEI : そうですね。変わっていきたいです。

ー 最後に、SHOSEIさんはあと数日で二十歳を迎えるわけですが、これからの夢をお聞かせください。

SHOSEI : これまではタイトルを取ることでしたが、この旅を通して、タイトルはもちろん、それ以上に「人に届けること」。それが夢になりました。多くの人に自分の踊りを届けたいと思います!