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生分解可能な洋服が、環境にいい理由

今、ファッション業界では「Biodegradable(バイオディグレーダブル)」がキーワードの1つになりつつある。日本語では「生分解できる」という意味で、土に埋めたら微生物によって分解され、自然の一部として還っていくことを意味している。

では、なぜ洋服は自然に還るほうがいいのだろうか?なんとなくは理解できても、その詳しい理由まで知っている人は少ないかもしれない。

この記事では、生分解できることの重要性と、自然に還るニットウェアを販売するブランドを紹介したい。

安価な洋服は
大量の資源を使用している

いわゆるファストファッションに分類される洋服のほとんどは、ナイロンやポリエステルなどの石油由来の化学繊維が採用されている。これは土に埋めたとしても、分解に200年以上かかってしまうそうだ。

洋服が破れたりほつれたりしても、修理しながら長く使っているのであれば環境負荷は低いが、トレンドではなくなった洋服や売れ残った洋服は廃棄されることが多い。埋立処理されるのであれば分解に非常に長い時間がかかってしまうし、焼却処理されるのであれば二酸化炭素を排出してしまうことになる。

処理だけでなく、製造過程も問題を抱えている。例えば、ポリエステルと綿を比較した際に、ポリエステルの二酸化炭素排出量は綿のおよそ3倍だと言われている。これは石油を採取したり精製したりする際に電気を使用することも大きく影響している。

また、1枚のTシャツをつくり上げるまでに約2,700Lもの水が使用される。化学繊維は安定して生産でき丈夫であるメリットもあるが、環境負荷という観点で切り取ると、多くの課題を抱えているのだ。。

70万〜120万のマイクロファイバーが
洗濯するたびに流出

化学繊維を使用するデメリットは他にもある。それが水質汚染だ。

化学繊維は化学染料を使って色を出していることが多い。それ自体は問題ないのだが、きちんと排水が処理されない場合は川や海を汚してしまい、そこで暮らす動植物たちに悪影響を与えてしまう。

過去に使用されていたアゾ化合物を含む化学染料は、発がん性物質を生成してしまう可能性があるとして、現在は使用が禁止されている。現在使われている化学染料がすべて人体に害があるわけではないが、天然染料では考えられないリスクもあるのだ。

そして忘れてはいけないのが、マイクロプラスチックの問題だ。化学繊維の洋服を洗濯すると、毎回70万〜120万のマイクロファイバーが流出すると言われている。なかなかイメージが湧かない数値かもしれないが、海に流れ出たマイクロプラスチックの約35%は洗濯によるもの、という研究結果もあるほどで、それだけ海や生態系に影響を与えてしまっている。

海にマイクロプラスチックが流れ出すと、海洋生物の体内にもそれらが入り込むことになる。実際、魚の体内からもマイクロプラスチックが見つかっており、私たちがそれを食べたとしたら、体内にプラスチックを取り込んでいるのと同じことになってしまう。

何も考えずに化学繊維を使い続けてしまうと、環境に大きな負荷をかけるだけでなく、回り回って自分たちの健康を損なってしまう原因になるかもしれないのだ。

天然繊維のニットウェア
「NETENE.」

では、そんな化学繊維による悪影響を最小限にするためには何が必要なのだろうか?答えはシンプルで、化学繊維ではなく天然繊維の洋服を必要な分だけ購入することだ。

そこで紹介したいのが「最後には土にかえる循環型のサステナブルニットウェア」というコピーを掲げる「NETENE.(ネテネ)」だ。

「NETENE.」では、今までは捨てられてしまっていたコットンの種のまわりについている産毛を使用し、従来ごみとなってしまっていたものに価値を見出しながら、商品のすべてを天然繊維で仕上げている。もちろん、生分解が可能だ。ウェブサイトでもその証拠となる写真が公開しており、透明性が高いのも嬉しい。

また、商品が手元に届くまでの配慮もしっかり設計されており、商品を梱包するビニール袋の使用を可能な限り抑え、リサイクル可能なプラスチックを採用。製糸から編立てまでを国内で行っているので、輸送に関わる二酸化炭素排出量は少なく、地域経済の活性化にも貢献しているのだ。

そして、最大の特徴はそのルックスだろう。前後で着用できるワンピース、シンプルで毎日のように着たくなるガウン、スリットが入って歩きやすいパンツ……いずれも「それどこで買ったの?」と聞かれそうなくらい、こだわってデザインされている。

「NETENE.」は、おしゃれを追求しながら環境に負荷をかけない選択ができる、数少ないブランドの1つだと言えるだろう。